SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


外に出て、細い小道をまっすぐ歩く。

五月の色とりどりの景色の中で、全身黒ずくめのあたしの格好は目立っているに違いない。


土手を登った先にあるのは、あちこち大地のすりむけたグラウンドと大きな建物。

あたしはグラウンドに足を踏み入れる。

すると風を切る音とともに、頭上から何かがこっちに向かって飛んできた。


"ボボボボボボッ!!"


うしろへ飛んでそれをかわす。

それはピンポン球だった。


"ボボボボッ! ボボボボボ!!"


間髪入れず、今度は頭上と真横からそれが飛んでくる。


「……っ、」


前方へクルッと転がり回避するも、次から次へと連打は続く。

次第にそれはスピードを増した。


"ヒュボボボボボッ!!"


強く地面にめり込むピンポン球。

白いけむりが立ちのぼる……

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