SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

◇悪の刻印



____ ジ ____ ジ _______
_____________ ジジ __
______ ジ ___ ジジ _____


"ヒュロロ……ヒュ〜、ヒュチュン!"


……ザッ、 ……ザッ、 ……ザッ、


これは、夢……?


草木が生い茂るジャングルの中を、あたしは一人、あてもなく歩いていた。


"ヒチュン、チュン……ヒュロロ……"


天高く伸びる木々……

その隙間から見えるのは、雨が降り出しそうな色の空。


……ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、


草をかき分けあたしは進む。


葉っぱで手が擦り切れても、ささくれ立った小枝で足が傷付いても、あたしはけして立ち止まらない……


一体どこに向かっているのか……


どうしてあたしは歩いているのか……


それさえ何も分からずに……


——ザアア……


やがて降り出した雨。


景色は変わり、突如古い石段が現れた。


どこまでも続く長い階段……


迷わずあたしは登り始める……


“タン、タン、タン、タン”


軽快に登り始めたのも束の間


“……タン、……タン、……タ……ン、”


だんだん足が重くなる。


「……ハァ、……ハァ、」


息苦しい……


湿気を帯びた空気のせい


……いや、 ……ちがう……


「————!!」
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