SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
あたしはジグザグに走りながら建物を目指す。
……しかし、
……空気が変わった……
「……っ!」
気付けば、あたしを取り囲むように、大小たくさんの石が宙に浮いている。
……逃げ場は、ない。
"ビュオオオッッ!!"
タイミングを計ったように、石が四方八方から一斉にこっちに飛んできた。
「……ハッ!」
とっさにあたしは両手を広げてバリアーを張った。
カキン! キンキンキン!
ズドドドドドドド……ッッ!!
バリアーに弾かれ石が地面に落ちてゆく。
——しかし、
鋭く尖った、一つの大きな石だけが、バリアーを突き破らんばかりにジリジリと侵入してきていた。