SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「 ん~。だいぶマシにはなったけど、まだまだ改善が必要ね 」


建物の陰から、長い黒髪を一つにまとめた、色白の女が姿を見せる。

そして、あたしの胸の前で止まっているナイフに手をかけると、それを自分の腰にスッと収めた。


彼女の名は武田凛子(たけだりんこ)。

凛子はサイコキネシス、いわゆる念動力ってやつのPSY保持者だ。

さっき、あたしにピンポン球や石を飛ばしてきたのもこの凛子だ。



「 鉄を跳ね返すだけの強度がないと実戦にはムリね。あと、大きさにも変化が欲しいし……。 飛ばして、自分以外のものにもバリアー出来たらいいんだけど…… 」


凛子はブツブツ言いながら、ファイルに何かを書き込んでゆく。


「ん~、あとは……」

「 柔軟性じゃな 」
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