SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……オレ、前に親父から聞いてたのもあって超能力については詳しいんだ。
もともと、ESPとバリアーじゃ能力の質っつーか……タイプが全く違うんだ。
バリアーは攻撃を防御するものだが、実はれっきとした攻撃型で……」
「……?」
「……とにかく、オレはそんな能力者、聞いた事がない。おまえ本当に……」
「透が言うの、分からない」
「多重人格みたいなモンだ。タイプの違う能力を二つ同時に操るなんて……それが内在するだなんて……」
信じられないといった透の顔。
その様子に薫も視線をウロウロさせる。
……と、
——ガクッ!
突然サヤが倒れこんだ。
「……は? ……おい!」
崩れ落ちるその体を透がしっかり抱きとめる。
「なに? どうしたの?」
「わっかんねえ、おい!」
呼びかけるも返事はない。
だらりと手足を投げ出して、サヤは頭を垂れている。
「おい! どうした! ……おい!」
すると、
「 ! 」
弾かれたようにパッとサヤが顔を上げた。
拍子抜けしてしまうほどスッキリとしたその表情、瞳は大きく見開かれている。
「……ちょ、 なに……?」
「どうしたっていうんだ……」
——ビクン!
サヤの肩が跳ね上がる。
「……わたくし……」
ひと呼吸の後、サヤは口を動かした。
「わたくし、分かりましたわ」
「……え?」
「……は?」
「分かって、しまったのです」
感情のない喋り口……
少し異様な光景に二人は顔を見合わせる。
「おい、おま——」
透が何か言いかけた時、
「Blue doll」
発せられたその言葉に二人は息をのみこんだ。