SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「正直、わたくしもびっくりですわ。まさかこんな事があるなんて……何も知らないふりをして、今までずっと騙してきたんですのね」
「……な、に……」
「……どういう事だ……」
ジトリ、不安が部屋を覆う……
“ 聞きたくない ”
心に警報が鳴り響くも、すでにあたしの目と耳はサヤを捉えて離さない……
「……ふっ、ふふっ! おめでたい人たち! ホントなんにも知らないで……友達⁉︎ ウケるっ、最高っ!」
またサヤの態度が変わる。
発せられた次の言葉は——
「天使 美空は元Blue doll。 アンタたちの母親を殺したBlue dollのメンバーなのよっ!!」
————とても衝撃的なものだった。
……っ!
瞬間、あたしはどこか別世界にでも飛ばされたような感覚になる……
頭の中が凍りついて、体温も、心の温度もなくなって、人や物、色や形、全て認識出来なくなる……
停止した機械のように、ただ、弱く呼吸だけはして、フィルター越しの景色を見ている……
「……は、あ……?」
「……なに言ってんだおまえ……」
言葉の意味が分からない二人は某然とそこに立ち尽くした……