SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……まだ理解出来ないって顔ね。 じゃあいいわ、さっきの疑問に答えてあげる」
「「……ぎ、もん?」」
「知りたがってたじゃない。どうしてそいつがバリアーとESP二つの能力を使えるのか、それをずっと隠していたのか」
「「……⁉︎」」
「隠していたのは真実にたどり着くのを防ぐ為よ」
「「……は?」」
「能力に詳しい透さまなら矛盾に気付くのは当然だもの。 でも、それを説明するとなるとBlue dollだった自分の素性を明かさなければならなくなる。
都合悪いわよ。だってその能力はBlue dollで得たものだし。
二つの能力を保持出来る特異体質になったのも組織が何かそいつに施したから」
「「……っ……⁉︎」」
「たぶん特別な薬か何かを使ったのね。まだ完全に能力が戻った訳じゃないから詳しい事は分からないけど……でもそんなところだわ。
しかも今視えた事だけど……
そいつは自分の意志で、みずから組織に加わってる。ESPを使っていろいろ組織に協力してたの。
言われるがまま悪びれる様子もなく、そうやって次々と凶悪犯罪に手を染めた」
「「……っ……!!」」
「そりゃあ隠すのは当然よね。友達のお母さんを殺したのが自分だなんて……そんな事がバレたら今度は自分が殺されるかもしれないもの。
だからあえて黙ってた。それらしい口実を作って、それ以上深くは追求されないように」
「「……っっ……!!」」
目を見開き、口を半開きに、しばらく二人は動かない。
「……っ……ウソっ!」
「適当なこと言ってんじゃねえっ!」
やっと口を開いた二人は強くサヤを睨みつけた。
荒々しい息遣い……
体は怒りにぶるぶる震えている。