SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……まったく。力の強化うんぬんより、おぬしはまずその不安定さを何とかせねばのう 」
血が出て赤黒くはれたおでこに凛子が包帯を巻いてゆく。
「 もう! じいちゃんが不意打ちなんてするからでしょ!」
「 なにを言う! わしはあらゆる危険を想定してじゃなあ、」
じーさんがバツの悪そうな顔をする。
いかめしい顔がだいぶ緩んだ……
じーさんはPSYを持っていない。
ただ、何十年も前からPSYについて独自に研究を重ねてきたじーさんは、その知識の豊富さを一ノ瀬に買われ、D.S.Pのトレーナーとなった。
PSYコンサルタントというものに興味があった凛子も、みずからトレーナーに志願した。
「 凛子、じーさん。続けて。トレーニング 」
あたしは二人に言う。
"強くならなければ"
その思いだけが体中を占めていた。
「……続けると言っても、またしばらくは出来ぬのではないか? どれ、バリアーを張ってみい 」