SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「出て行ったというなら……多分、オレたちの事があったからだと……」


「「……?」」


今度は黒木とユリが首を傾げる。


「あのっ! どうして言ってくれなかったんですかっ! 美空さんの事っ!」


薫はバッと二人に詰め寄った。


「……っ、なんだあ?」
「……どういう事……?」


「美空さんがBlue dollだったという事です! それを昨日、あのサヤって人から聞きました!」


「「————っ!!」」


一気に二人が凍りつく。


「……な、なんっ……」
「……っ……サヤ……」


「あの人、ずっと美空さんをいじめてて……! それを昨日二人に言おうと思ったんです! そしたら突然能力が戻ったとかで……美空さんの事、いろいろ喋り出して……!」


「「……っ……!!」」


「……う、嘘ですわっ!」


すぐにサヤが割り込んだ。


「いじめてたなんてそんな事……そうやって皆でわたくしを悪者に……!」


「全部本当の事じゃない!」


「誠兄さま! ユリ姉さま! どうかわたくしを信じて下さい!」


「「……っ……」」


「さっきの……あの湧人って少年の態度を思い出して下さい!

あいつ、二人に失礼な事を言ったばかりか、わたくしには “ おまえなんか大嫌いだ!” と暴言を! いじめられているのはこっちですわ!」


「……っ……ちょ、待て!」
「……なん……なのよ……」


黒木とユリは混乱した。
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