SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「「「……っ……！！」」」


「……ハァ、　……ハァ〜、」


二度ほど大きく息をつき、ようやく頭が持ち上がる。

まだ興奮の残る顔は赤く、逆に瞳の奥は暗かった。


「……っと、　だから……」


弘和は言葉を探して繋いでゆく。


「サヤがスランプに陥った時、チームはみんなホッとした。だが、それはほんの束の間の事で、またすぐに不安に駆られたよ。

だってそうだろ、弱みは握られたままなんだ。同じように居座られる可能性だって十分ある。

そんな時、キミたちに媚を売るサヤの姿を目撃したんだ……」


「「「…………」」」


「サヤの目的はすぐに分かった。スランプになったその苦しい胸の内を誰かに聞いて欲しかったんだ。キミたちには特に、何故なら……

それが、月島一樹に近付ける手段でもあったからだ」


「……っ……」
「……いつき……」
「……くん……？」


「ああ。サヤは一樹に好意を抱いていた。一樹と仲のいいキミたちに近付けば一樹との距離も近くなる……そう考えての事だった」


「……っ……」

「「……っ……！！」」


「最初はキミたちも……どこか警戒していた様だったが、話す度に打ち解けて……

サヤもサヤで案外居心地が良かったのか、二人のそばを離れなくなった。

そして、更に関心を惹きたくなったサヤはキミたちに嘘を言い始めた……」


「……っ……」

「「……う、そ……？」」


「自分はチームESPに苛められていると……。　まったく、よくそんな事が言えたもんだ。さんざん自分が苛めておいて」


「「「……っ……」」」