SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「あのさあ、予想外の行動はやめてくれないかなあ?」
背の低い太った金髪男が二人に言う。
「僕たち、も〜っと面白いものが見たいワケ。だからこのまますんなり仲直りとか、そんなの全然つまんないし、期待外れもいいところ」
「「……⁉︎」」
「普通はやられたらやり返すだろお? 楽しみに待ってたのにさあ、ほんとキミたちにはガッカリだね」
いまいち話が見えてこない。
顔を強張らせながら透と薫は意味を探る。
すると、金髪男の隣にいた、痩せで長身の短髪男が薄ら笑いを浮かべて言った。
「お前等は憎んでいる筈だ、Blue dollを。母親を殺した、あの組織の人間を」
言葉がドンと胸を突く。
「……なっ!」
「お前ら一体!」
心臓が激しく動悸して、二人は生唾をのみこんだ。
「グフフ」
「ヒヒヒ」
奇妙な笑いが辺りを包む。
得体の知れない不気味さに、恐怖に、ますます二人は後ずさる。
「あれ〜? どこ行くの〜?」
楽しむように、男たちは逆に距離を詰めていった。
「……っ!」
「近寄るな!」
「グフフ」
「大人しくしろ」
「いやっ!」
「このっ!」
訴えも抵抗もむなしく、長身の男の人差し指が容易く二人の額に触れる。
「「————!!」」
瞬間、まるで石にでもなったように、透と薫は硬直した。