SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……なんで……
二人は訳が分からない。
体が、指の一本でさえ、全くどこも動かせない。
冷や汗だけがこめかみの辺りをスウッとゆっくり流れていった……
「……さあて」
男たちが取り囲む。
「キミたちには、これからもっと楽しませてもらうよ。愛情とか友情とか、ボクたちそんなの求めてない。見たいのはもっと無情で残酷なもの……」
「なあに、お前等はただ従っていればいい。無駄な情など取っ払った本能の赴くままに……」
再び長身男の手が触れる。
男は冷たい光を瞳に宿し、今度は暗示をかけ始めた……
「アイツはお前等の敵だ、もう友達でも何でもない。アイツの顔を見る度、お前等の恨みや憎しみは増すだろう。
けして許すな、信じるな。もっともっと苦しめて……
最後はお前たちの手で……殺せ」
「「————!!」」
「期限は三日。 ヒヒッ……お前等に拒否権はない。 もしそれまでに任務を遂行出来なければ、その時はお前たちが自ら死ね」
「「————!!」」
「手段はそうだな……」
長身男は考えながら、それぞれ指示を与えてゆく。
「…………」
「グフフ……」
それを見守る仲間の二人。
「これでやっと面白いものが見られるよ。待ってろCKー1……身も心もズタズタに、あの時の恨みを晴らしてくれる」
「……CK……」
「……ああ、今は天使美空だったね。まあ、そんなのどっちでもいいけど。グフ、グフフ!」
空港には金髪男の不気味な笑いが響いていた。