SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇報復の代償
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"ティン"
季節外れの音色が不規則に耳に届けられる。
夏からずっと吊られたままの風鈴。
閉じた窓のせいで音はこもり、それは小さく弱々しい。
広い縁側には冷たい秋風の侵入はなく、窓からはたっぷりの暖かな日差しが降り注いでいた。
——午後二時……
まだ二時なのか、もう二時なのか、いまいち感覚が分からない。
朝方、湧人とここに帰って来てから、あたしはただ流れに身を任せているしか出来なかった。
言われるがままお風呂に入って、寝て、
そしたら急に起こされて、何故か急いで駆けつけた、黒木とユリに対面して……
「…………」
窓の外を見つめる。
敷地の隅にある小さな野菜畑では、さっきからお婆ちゃんが何やら畑の手入れをしている。
昨日とは打って変わって晴れた空……
『……ゴメン……』
『……ごめんなさい……』
また、二人の声が蘇った。
さっき二人は見た事もないような落ち込んだ様子で、ごめんとあたしに謝った。
すすり泣くようにしながら何度も何度も……
あたしは、よく分からなくて……というより、何の話をしているのか、言葉がうまく入ってこなくて……
ただ、泣いてる二人を見つめてた。
何がそんなに悲しいのか、苦しいのか、それはあたしのせいなのか……
やっぱりあたしのせいなのか……
心にはどんどん重いものが被さって
結局、何も二人に言えないまま……
唯一、意志を示せたのは、
『『……帰ろう……?』』
そう、二人が言った時。
————帰らない。
あたしは首を横に振った。
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"ティン"
季節外れの音色が不規則に耳に届けられる。
夏からずっと吊られたままの風鈴。
閉じた窓のせいで音はこもり、それは小さく弱々しい。
広い縁側には冷たい秋風の侵入はなく、窓からはたっぷりの暖かな日差しが降り注いでいた。
——午後二時……
まだ二時なのか、もう二時なのか、いまいち感覚が分からない。
朝方、湧人とここに帰って来てから、あたしはただ流れに身を任せているしか出来なかった。
言われるがままお風呂に入って、寝て、
そしたら急に起こされて、何故か急いで駆けつけた、黒木とユリに対面して……
「…………」
窓の外を見つめる。
敷地の隅にある小さな野菜畑では、さっきからお婆ちゃんが何やら畑の手入れをしている。
昨日とは打って変わって晴れた空……
『……ゴメン……』
『……ごめんなさい……』
また、二人の声が蘇った。
さっき二人は見た事もないような落ち込んだ様子で、ごめんとあたしに謝った。
すすり泣くようにしながら何度も何度も……
あたしは、よく分からなくて……というより、何の話をしているのか、言葉がうまく入ってこなくて……
ただ、泣いてる二人を見つめてた。
何がそんなに悲しいのか、苦しいのか、それはあたしのせいなのか……
やっぱりあたしのせいなのか……
心にはどんどん重いものが被さって
結局、何も二人に言えないまま……
唯一、意志を示せたのは、
『『……帰ろう……?』』
そう、二人が言った時。
————帰らない。
あたしは首を横に振った。