SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「あの二人ならきっと大丈夫。それに、みくのせいなんかじゃないから」
「……え、」
「今まで聞いてきた事、全部繋げてみた。そしたら分かった。確信したんだ、やっぱりって」
「……?」
「ほら、前に話してくれただろ? みく……監禁されてたって。悪い奴に殴られてたって」
「……あ、」
「その悪い奴がBlue dollだったんだろ? たぶん脅されたか何かで、それで仕方なく……」
湧人は唇を噛みしめる。
「……図星、だろ?」
言われて、あたしはコクンと頷いた。
「……やっぱり」
"ティン"
悲しげな声と風鈴の音色が混ざり合う。
「……でも、」
すぐにあたしは付け足した。
「悪いは変わらない。あたしがそれをやったんだ。あたしは悪いやつなんだ」
「……っ! だからそれは違うっ……みくはっ……」
「自分の事だけ考えてた。でも、あたし、そのせいで……他のやつの事なんて、どうなるかなんて、なにも、考えてなかったんだ」
「……み、く……」
「ただ、守りたかっただけなんだ」
「……守りたかった?」
「お父さんとお母さん。助けたかったんだ。だから……」
「お父さんとお母さんって……確か、亡くなったって前に……」
「殺された」
「……っ!」