SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 ESP、か 」
一ノ瀬はバリアーよりも、このESPの方に期待しているようだった。
ESPとは、透視、予知、探査の出来る人並みはずれた第六感のことだ。
二年前、あたしは"ESPマスター"だった。
それは、ESPを持つ者の中でも最高レベルとされる称号。
でも、それも今となっては過去の話……
あたしの実力はESPマスターとは程遠いものになっていた。
「 お~い、ミク~! 迎えに来たぜえ~!」
明るい声とともに、こんもりとした頭が斜面を下りてくる。
「……黒木 」
あたしはムクッと体を起こす。
すると、
「……きいゃーっ!」
黒木が素っ頓狂な声を上げた。