SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 どどど……どうしたんだあ~? そのケガあ~⁉︎ なあ~ミクう~!!」
黒木があたしをユサユサ揺らす。
「 黒木。落ちついて 」
こんなの、ケガのうちに入らないのに。
黒木はあたしがケガをする事に、なぜか過敏に反応する。
「 待ってろ、いま治してやるからなあ~ 」
「 あ~。いい。痛くない 」
あたしは痛みに鈍感だ。
ケガをしたとしても、ほとんど痛みを感じないのだ。
それも問題だと、一樹は言っていた。
「 黒木。使わないで。余計な力 」
「 なあ~に言ってんだあ~? オレはミクの専属ヒーラーだぞお~?」
もちろん専属ヒーラーだなんて、あたしも、一ノ瀬も、誰も頼んでいない。
黒木は半ば強引にあたしの頭に手をかざすと、さっさと傷を治してしまった。
「ヨシ! 完璧~♪」
黒木は丸めた手をあごに当ててニヤッとした。
「 あ~。……で、今日はなに?」