SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇タトゥー
"チャ~タリラリラ~♪
ブロロロ~……パッパ~ッ!
バサバサッ……カア~ッ!!"
雑音が街に溢れている……
あたしはキョロキョロと目を動かしていた。
「 ダア~ッ! なんナンだよまったく! あっちいけ! シッシッ!」
さっきからカラスにつつかれている黒木は、自慢のアフロがいびつな形になっている。
「 巣づくり、したいんだ。させてやれば?」
「 みく、ヒドい~!」
黒木は悲しそうな顔をする。
D.S.Pの敷地以外、外に出るのは今日が初めてだった。
見るものすべてが目に新しい……
最後に街の景色を見たのは10年前か……
あたしの時間は止まっていても、世の中は止まる事なく、着実に時を刻んでいたのだ。
街の記憶が新しいものへとチェンジされてゆく……