SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 ヒッヒッヒッ、お薬の時間だぜ?CKー1」
カイドウの言葉に、後ろにいた白衣の男が注射器を取り出す。
……ああ、これで最後。
あたしの第六感がそれを予測する。
この注射であたしは命を落とすだろう。
「…………」
あたしは天井のシミを見つめていた。
血の色だったそれは、いつの間にか茶色に変わり、模様となった。
"力が……欲しかった"
あたしは遺言のように心でつぶやく。
コイツらなんか簡単に倒せるぐらい、もっともっと強い力が……
そしたら、お父さんもお母さんも死なずにすんだのだろうか……
みんなを、助けてあげられたのだろうか
——助けたかった……
「……っ、」
強い力が欲しかった……
あたしに強い力があれば……
……力……
……力が……
……あたしに……
……ちからが……!
……チカラ、が……!!
『 強い力が欲しかった?』
——!