SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……とおる? ……かおる?」
共有リビングルームに来た所であたしは二人を探ってみる。
瞳の奥を覗き込むと、やっぱり暗くてひどく冷たい……
「なんだ、どうした」
「……傷、痛むの?」
もはや操り人形と化した二人を前に、カイドウの言葉を思いだす。
“ もうあまり時間はない ”
“ 助ける為にはどうすべきか ”
その意味するものはなんなのか、ESPであたしはじっくり確かめてゆく。
そして——、
「……!」
あたしは全て分かってしまった。
今、二人が置かれている状況が。
強力なテレパスの力に支配され、ある重要な任務を背負わされている現状が……
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫? 美空さん?」
カイドウが言うように、もう、あまり時間はない。
タイムリミットを過ぎれば二人は——