SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……とおる? ……かおる?」


共有リビングルームに来た所であたしは二人を探ってみる。

瞳の奥を覗き込むと、やっぱり暗くてひどく冷たい……


「なんだ、どうした」
「……傷、痛むの?」


もはや操り人形と化した二人を前に、カイドウの言葉を思いだす。


“ もうあまり時間はない ”

“ 助ける為にはどうすべきか ”


その意味するものはなんなのか、ESPであたしはじっくり確かめてゆく。

そして——、


「……!」


あたしは全て分かってしまった。

今、二人が置かれている状況が。

強力なテレパスの力に支配され、ある重要な任務を背負わされている現状が……


「おい、大丈夫か?」
「大丈夫? 美空さん?」


カイドウが言うように、もう、あまり時間はない。

タイムリミットを過ぎれば二人は——

< 702 / 795 >

この作品をシェア

pagetop