SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……は?」
「なに言ってるの、お父さん」
「確かに美空はBlue dollだった。だが同時に被害者でもある。 美空に全ての責任を、矛先を向けるのは間違っている」
「「……⁉︎」」
「……誘拐されたんだ、美空はBlue dollに。 以来、地下室での監禁を余儀なくされ、無理矢理組織に加えられた。
仕方のない事だったんだ。 当時の美空に拒否権などなかった……あるはずがない。暴力で脅され、記憶操作もされていたんだからな」
「……やめろよ」
「なんでそんな嘘言うの。あの人がお母さんを殺したのに」
「だから美空が殺した訳じゃないっ! そもそも事件の時、美空はまだ10才にも満たなかったはずっ……そんな子供に何が出来る!
それでなくとも地下室から一歩も出られずにっ……協力したと言っても逃走ルートの確保だけだ! 少なくともあの事件では……!」
「「……は、あ……?」」
「美空にとって長い監禁生活は感情さえ失うほど過酷なものだった! 肉体的にも精神的にも限界のっ……そんな状況で善悪の判断などつけられたはずもない!」