SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……あ~。黒木 」
「 う~ん?」
黒木はあたしの顔をのぞきこむ。
「 残ってもいい。痕 」
あたしは、さっき思った事を黒木に伝えた。
「……へ?」
黒木の動きが止まる。
あたしは構わず続けた……
「 あ~、いましめ、自分への。忘れたくない。あの時のこと。お父さん、お母さん、みんなのこと、あたしの気持ち。くやしい気持ち、忘れない。あたし、負けない。コレに、負けない 」
あたしはガーゼが貼られた左腕をさすった。