SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「夢だけど夢じゃない。 本当にあたし、会ってたんだ」
「……へえ、」
「今までずっと悪いって、あたしのせいだって思ってて。 でも、逆にごめん謝られて……」
「……うん」
「すれ違ってたんだ、お互い。 視たくないってずっと避けて。でも、会った途端に分かり合えて。 だから、なんて言ったらいいのか……」
「……うん」
「向き合うって、大事だなって思ったんだ。 だってこんなに違うんだ、前よりあたしあったかい……心がすごくあったかい。
それに、これからはもっとそばにいてくれるって、寄り添ってくれるって、今もここにお父さんとお母さんが……」
あたしは軽く胸を叩く。
包み込まれてるような安心感がそこにあった。
「……そっか……」
にこりと微笑む湧人を見て、あたしは少し黙りこむ。
頭にはお父さんとお母さんとの思い出が足早に次々流れている……
「……湧人、あのさあ、そういえば……」
「……ん?」
「さっき、あたしとキス、した?」
思いだして湧人に聞いた。