SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
黒木はポケットからタバコを取り出すと、一本口にくわえ、ライターで火をつけた。
……あ。
今、あたしと同じ年ぐらいの女の子の顔がみえた。
「…………」
あたしは分かってしまった。
黒木が今、誰を思い出しているのかを……
「……いもうと 」
あたしの言葉に、黒木がハッとする。
そして、観念したように、ハア~っとタバコの煙を吐き出した。
「 ははっ、おまえもナカナカ、あなどれね~なあ。 あいつは、麻里は……おまえに似て、強い妹だったよ…… 」
黒木は体をダランと崩して空を見上げた。