SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 んあ? どしたあ? ミク?」
異変に気付いた黒木が振り返ってあたしを見つめた。
……これは……
……あたし、は……
————ドクンッ!
瞬間、鼓動が高鳴って視界が大きく揺れ動いた。
「 ! 」
あたしの中で何かが目覚めた感覚……
"ドクン! ドクン! ドクンッ!"
鼓動と共に、あたしの真ん中にある、ブレない揺るがないもの、
根拠のない自信のようなものがみるみる肥大し、湧き出る泉のように溢れ出す……
「……っ!」
映し出される景色、聞こえる悲痛な声……
あたしは分かった。
今、なにをすべきかを……
「 黒木。行ってくる 」
「……へ? どこに…… 」
不思議そうに見つめる黒木の前で、あたしは頭に浮かぶ景色に意識を集中させる。
そして、
————シュン!!
何故、それが出来たか分からない。
あたしは目を閉じると同時に、その場所へ【瞬間移動】した。
「 でえええええ~~~っ⁉︎」
忽然と消えたあたしに、黒木が絶叫し、腰を抜かしていたとも知らずに……