SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇陰謀と画策と天使さま!?
高速道路を走る、一台のワンボックス型のでかいバン。
スモークの貼られた車内には四人のヤクザと一人の女。
そして、懺悔する一人の男……
「……ウウ…… 」
男は頭に麻の袋をかぶせられ、両手足は固く紐で縛られている。
「 ゴホッ!」
おとなしく乗っている事もかなわず、男の体にはしばしば拳が飛んできた。
煙草の煙が充満した車内。
低い男の声と、聞き慣れた女の笑い声……
女はこの男の妻だった。
(……ううっ、サキ、お前は! お前って奴は……!!)
涙と血が混ざり、麻の袋がベタベタと顔面に貼りつく。
(すまん! すまん!)
男は必死に息子にわびる。
後方にいるであろう息子の声は聞こえない。
おそらくは薬で眠らされているのだろう。
「……ったく、おとなしく私のいう通りにしてれば良かったのに。きゃははっ!」
高笑いする男の妻。
男は自分の愚かさを痛感していた。
一体、何故こんな事に……