SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「ほうら、最後に見とけや。自分の愛した女をよぉ 」
麻の袋が取られ、男の目に煙草をふかす女の顔が映る。
女はニヤッと微笑むと、わざとヤクザの一人とキスをした。
「……ううっ!」
木刀が振り下ろされる。
男はギュッと目をつぶった……ところが、
「……っ!」
男に木刀があたる事はなかった。
何故なら、ヤクザたちの体が一斉に後ろへ吹き飛んでいたからだ。
——ピシャ、
水音が響いて男は顔を上げる。
目の前には銀髪の美しき少女、“美空” がそこに立っていた。