SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 ちょっと何やってるのよ! そんな小娘、とっとと捕まえなさいよ!」
遠くで女が焦ったような声をあげる。
「……ガキがっ!」
ヤクザたちは、今度は一斉に美空に襲いかかった。
"ガッ! ……ゴッ!!"
顔面に拳が、脇腹に蹴りが飛んでくる。
……が、美空は顔色一つ変えない。
代わりにヤクザたちの顔が歪んだ。
「 ぐぎゃっ! 」
「 あ゛ううっ!」
美空の体は、目に見えない鋼の鎧のようなもので覆われていた。それがヤクザたちの骨をいとも簡単に砕いた。
「 てめえっ!」
ヤクザたちの目が血走る。怒りは頂点に達していた。
夕闇にギラリと光る短刀、
それでも美空は無表情のままだ。それが余計にヤクザたちの怒りを煽る……