SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……き、み…… 」


男が口を半開きにして美空を凝視する。


「……きみは、もしかして…… 」


美空が振り向き視線を合わせる。


「……てんし、なのか?」


「……?」


意味が分からず、美空は首をかしげた。


「……天使さまだ……」


すると、

——ヒュ!

後ろから風を切るような音がした。


「……!」


美空は腕を盾にする。

ナイフが手首を切りつけ、真紅の血液が滴り落ちる……


「 邪魔してんじゃないわよ! この小娘っ!」


女が髪を振り乱しながらまたナイフを振り上げる。


——ゴスッ!

美空は素早い動きで拳を女の腹にめり込ませた。

ただ、それだけで女は動かなくなった。
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