SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 はあ、」
……寒い……
ガタガタと体が震えだす。
春は昼と夜の気温差が激しい。
石の冷気から逃れるように、あたしは仰向けに体勢をかえた。
ところが、
「 はうっ!!」
突然、重い鉛が落ちてきたように、胸が強く圧迫される。
……息が、できない……
————っ!
視界に映る満月、
そうか、よりによって……
「 うっ! ……はあっ!」
これこそ訳がわからない。
……なんであたしは、
……満月に弱いのだろう——、