ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
「僕は人間の姿だから、結愛ちゃんのことが好きなわけじゃないよ。もう結愛ちゃんは僕のこと忘れてたけれど、それでも諦めきれないくらい好きなんだ。」
「そう…レトを忘れ……たのね。」
「え?なんて言った?」
ボソっとサミがつぶやいたけど、聞き取れなかった。
おかしいな…聴力には自信があるんだけど…幸せボケしちゃってる?
「ううん?なにもない!ねえ、あっちがレトのこと忘れてるならなんでまだ一緒にいる理由があるの?」
「お願いごと叶えてあげたくて。」
「お願いごと?」
「うん、結愛ちゃんと好きな人を両想いにするっていうお願い。…だけどあんまり上手くいかなくて……。」