ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
「ありがと、じゃあ僕はそろそろ…。」
「ね…レト……。」
サミが僕を見上げる。
まずいな、これは…。
「お願い、レトの飲みたいな。」
サミが僕の首元に口を寄せる。
「ストップ……悪いけど僕、最近飲んでないからだめ。」
「じゃあ、レトが先にサミの飲めばいいよ…ほら。」
ツーとサミが自分の爪で首元を傷つける。
「っ……。」
ふわっと美味しそうな匂いが広がる。
僕たちの最高の栄養補給はこれ。
質液と呼んでいるもので、血管まで深くいかないところから出てくる。
傷はごく浅いから痛みは感じず摂取でき、味はさまざま。