ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
「レト…。」
わたしもレトの背中に手を回す。
「ッ…え!?結愛ちゃん!?」
「今はこうしたい…。」
「そんなこと言われたら…僕…。」
あ…。
レトの頭にはひょこんと耳がでてきて、尻尾がフリフリと揺れているのが見えた。
「結愛ちゃん…。」
レトの顔が私に近づく。
これって…キスされる?
その時…ピコン♪とわたしのスマホから通知音が流れた。
「…っ!」
パッとレトがわたしから離れ、耳と尻尾が消える。
「れ……。」
「あっ、そうだ!ご飯の用意しなきゃ…。」
急に寒く感じるほど、暖かく心地が良かった。
……。
…わたし、キスを待ってた。
ど、どうして…。
考えても答えは見つからない。
うん…とりあえずこのことは置いておこう。
ーーその後、いつもはレトから色んな話しをしてくるけど、今日はわたしが話しても、「うん。」とか「そうだね。」となんだかそっけなかった。