ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ

また、第3成長を迎えたものは貴族との婚姻が決められている。




その貴族に当てはまるのが、いとこのロベル・ジ・サミ。




サミは僕の父さんの弟の子どもで貴族の中でも1番王族に近い。




この第3成長の話しを知ったのは、僕とラトが第2成長を終えた12歳頃だった。




すでにその頃、僕は結愛ちゃんに会いに行く約束をしていたから、僕は第2成長を迎え、人間になれる時間が増えたこの段階で十分だった。




あとは、練習を重ねて人間の姿でいられ続けるようになるだけでいい。




僕は王位なんてどうでもいい。ただ人間として結愛ちゃんのそばにいれれば、それ以上の幸せはないから。




どうか、僕には訪れないでくれと願いながら数年が経った去年……。




ラトに第3成長が訪れた。




僕はたまらなく嬉しかったのを覚えている。




これで、僕は王位を継がずに結愛ちゃんに会いに行けると。



ただ、ラトのことが心配だった。



なぜなら、第3成長は心身ともにキングにふさわしい力を身に付けることとなる。



第2成長までとは比べものにならない力が襲いかかり、人格の変化や、その力に支配され度々理性を失うことさえあると聞いていた。

< 235 / 387 >

この作品をシェア

pagetop