ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
また、第3成長を迎えたものは貴族との婚姻が決められている。
その貴族に当てはまるのが、いとこのロベル・ジ・サミ。
サミは僕の父さんの弟の子どもで貴族の中でも1番王族に近い。
この第3成長の話しを知ったのは、僕とラトが第2成長を終えた12歳頃だった。
すでにその頃、僕は結愛ちゃんに会いに行く約束をしていたから、僕は第2成長を迎え、人間になれる時間が増えたこの段階で十分だった。
あとは、練習を重ねて人間の姿でいられ続けるようになるだけでいい。
僕は王位なんてどうでもいい。ただ人間として結愛ちゃんのそばにいれれば、それ以上の幸せはないから。
どうか、僕には訪れないでくれと願いながら数年が経った去年……。
ラトに第3成長が訪れた。
僕はたまらなく嬉しかったのを覚えている。
これで、僕は王位を継がずに結愛ちゃんに会いに行けると。
ただ、ラトのことが心配だった。
なぜなら、第3成長は心身ともにキングにふさわしい力を身に付けることとなる。
第2成長までとは比べものにならない力が襲いかかり、人格の変化や、その力に支配され度々理性を失うことさえあると聞いていた。