ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
「うん、デザインも悪くないわ。じゃあ、お父様とお母様によろしくね。」
サミが使用人たちにそう声をかけると、丁寧にお辞儀をして去ろうとしている。
けど…使用人の1人が僕に声をかけたそう。
どうせ言われることはわかってる。
「…なにか僕に言いたいことでも?」
「あっ…レト様っ…その、ですね…ラト様がとてもレト様のことを心配されておられるのですが…。」
「遠回しに言わなくていい。帰ってきてってことがいいたいんでしょ?」
「申し訳ありません。は、はいっ。ラト様は…そうおっしゃっていますし…わたくしたちも一度だけでも戻ってきたほうがよろしいかと……。」
少し口調がきつくなってしまう。
「心配してくれるのはありがたいけど、余計なお世話だよ、そうラトに伝えておいて。じゃあ行って。」
…はあ、疲れる。