ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
「食べていいっ?」
「ふふ、もちろんどうぞ。」
美味しいと笑顔で、もぐもぐと食べ進める結愛を眺めていると目が合った。
「?」
結愛の顔が赤く染まる。
「なんかレト、こっちに来てから雰囲気変わったよね。そんな、じっとみられると…。」
「え、雰囲気が?…そんなことないと思うんだけど…。でもごめんね、食べてるとこじろじろ見られるの嫌だったよね。つい可愛くて。」
「嫌ってわけじゃなくて…!でもやっぱり、うまく言えないけど…本当にかっこいいっていうか、美しさが増しているというか…。」
次は僕が顔を赤く染める。
「っくふふ…。」
「!?誰…?」
笑う声が聞こえた。
「あー、マナが笑うからバレちゃった。」
「だって2人とも微笑ましすぎるんだもの、そりゃ笑っちゃうわよ〜。タハンだって笑ってたじゃない。」
声をした方へ振り返る。
「…父様、母様なぜそこにいるんですか?」
そこには僕の両親が。
あ、ちなみに母様の名前はマナで父様はタハン。
お互いに責任をなすりつけてるね。
「んー?特に用事があるわけではないけど、レトは食事を食べに来ないじゃない?顔を合わせる機会がないから様子をみに来ただけよ〜?ねっタハン。」
「そうそう、マナの言うとおり。べつに初々しい2人を見て楽しみたくて探してたわけじゃないんだよ。」
わかりやすい…僕らを見てただ面白がってるだけだ。
自分の両親でありながら、2人のこういうところは僕より子どものように感じる。
僕は鈍臭いから、昔から両親からからかわれがち。
結愛との時間を邪魔したそんな2人をつい、冷めた目で見てしまう。
「っじ…じゃあ、レトたちの顔も見れたことだし…俺たちは中に戻ろうか。」
「ええ、そうね…!」
「……あっそうだ。本題があったんだった。レト、こっちに来て調子がいいみたいだけど、匂いは徐々に強くなってるからなるべく部屋で安静にしてるんだよ。」
「え、そうなんですか…?」
父様が真面目な口調でそう伝えてきた。
結愛としばらく落ち着いて過ごせると思ったのにな…。
「なるべく、だよ。いつ強い発作がでてもおかしくないって思っていた方がいいってこと。」
「そうですか…わかりました。ありがとうございます。」