ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
「……結愛。」
目の前のレトが笑ってわたしを抱き寄せる。
「れ…と……大丈夫…なの?」
獣耳と尻尾は綺麗な銀色の姿で、目はいつものレトと同じで赤くない。
身体に広がっていた紋章は消えて、左胸のクラウンのマークが黒く刻まれている。
「ん……普通…だよね?」
「うんっ…うんっ!!いつもの…レト。」
「よかった……よかったよぉ。」
ポタポタと涙を流すレト。
……つめたい。肩がめっちゃ冷たい。
わたしもついさっきまで泣きそうだったのに、レトの涙の量に衝撃を受けてるよ。
「ね、ねぇ…?わたしもすごく嬉しいんだけど…レトの涙で、ここ。びしょびしょになってるんだけど。」