毒薬は甘い蜜の味。
「しょうがないじゃない。
だって、美味しいものを食べて嫌な気分になる人なんていないでしょう?」



「つまり、私の作る料理が美味しいと。言うことですね?
毎食を作る甲斐があります」



「まあ・・そうね。
あなたが来てからジャンルを問わずにいろいろなものが食べられて、嬉しいわ」



「そう、そこです」



え、と私が思わず間抜けな声を出すと、
十史郎は得意げに右手の人差し指を立てて言った。



「お嬢様の知らないこと、
例えばお米の炊き方、卵焼きの作り方。」
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