毒薬は甘い蜜の味。
「・・お待たせ」
リビングに下りていくと、
十史郎は普段と全く違う服装と雰囲気で私のことを待っていた。
グレーのUネックのニットに紺色の細身のタック入りパンツ。
ピカピカに磨かれた焦げ茶のローファーに、
足首に光るのは小さなチャーム付のアンクレットだ。
髪型もキチっと固めたものではなく無造作に分けられていて、
心なしか少し緊張した様子を浮かべている。
「デートという設定ゆえ、
屋敷から出ると同時に、敬語を取らせていただきます。」
「ええ、分かったわ」
「・・何をそんなに見ているのですか。
私の顔に何か付いていますか?」