毒薬は甘い蜜の味。
加齢を理由に、
長く勤めていた執事の松岡さんが退職することになった。

彼は私が日本に戻ってきた頃にはもう既に今と同じ長老のような雰囲気を携えてはいたけれど、

その優しい空気で少しずつ私の心を開いてくれた。



「本日お嬢様がお帰りの頃には、新任の者が来ているはずです」



「そう・・分かったわ」



「正直松岡と致しましても、お嬢様の卒業を待たずに退職することとなってしまい、
無念でなりません」
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