好きになった人
チビチビとビールを飲んで、そろそろ帰ろうかと思った時、ちょうど足元で何か生温かい感触を感じた。


「?」

慌てて足元を見ると、そこには一匹の犬が私の足をペロリと、舐めていた。



「わぁ⁉︎」


驚いて思わず立ち上がってしまう。


何で犬…?

あれ?この犬って…


「レオン?」


『ワンッ』



私の呼びかけに、鳴いて返事をする。

「どうしたの⁉︎まさか、逸れたの?」


ビールを、今まで座っていたベンチにおいて腰を下ろす。


そっと、犬の頭を撫でる。

嫌がりもせず、されるがままになっている。
可愛い…


「どうしたの?お家の人は?」


『ワンッ』

「ワンじゃ、分かんないよ…レオン」


あれっ?

でも、リードがある…

よく見ると首輪のところに、散歩用のリードが繋がっていた。


じゃあ、散歩中だったのかな?


「春子さんと散歩だったの?レオン?」


レオンは朝、通勤中によく会う犬だ。

駅までの道のり、この公園を通るときに知り合った。
レオンの飼い主の春子さんは、とても気さくな人で朝、「おはよう」と話しかけてくれる。




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