好きになった人
朝の憂うつな気分を春子さんの笑顔を見ると、今日も頑張ろう!
と思えるのだ。

だから、時々朝の散歩に会える春子さんとレオンは私の癒しなのだ。


レオンの飼い主は、春子さんではなく確か春子さんの息子さんって言ってたな…


息子さんが仕事でいない時に、母である春子さんが面倒を見てるらしい。


そんな会話をしたような気がする。


今までレオンには朝しか会ったことがない。
ってことは、今日の散歩は息子さん?



「…しばらく待ってみる?レオン」


春子さんの家を知らないし、息子さんの顔も知らない。

少し待ってたら、探しに来るかも。

ここが散歩のスポットってことはきっと、家もこの辺なのだろう。



レオンを抱っこしてベンチに座り直す。


「ねぇ、レオン。
女ってだけで仕事が出来ないって言われるのは偏見だよねー」


「クゥー」


ふふっ。
返事してくれる。


私も犬飼おっかなぁ。
それか猫。


でも、独身でペット飼ったら終わりって言うしなぁ。




その時、遠くのほうで、

「レオンー!」


男の人の声が聞こえてきた。


「あっ!探しに来てくれたよ!」



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