好きになった人
「何でここが散歩コースって知ってんだよ」


なるほど、そういう事か。


レオンの本当の飼い主さんと会うのは初めてだった。
彼は私の事を知らないしもんね。


「朝、時々散歩中のレオンと春子さんに会ったことがあるので!」


「お袋の名前…」


「春子さんですよね?もし、信じられないなら春子さんに聞いてもらって結構です。綾瀬美咲と言います」



念の為、自分の名前を告げる。


「ワンッ!」


抱っこされたままのレオンが彼の腕の中で少し暴れる。


彼はレオンを下に降ろし、リードを持ち直す。


レオンはそのまま私の足にすり寄ってくる。


「…わかった。レオンの様子見たら分かるわ。知らない奴には懐かないから」



どうらや、レオンのおかげで疑いは晴れた様だ。



それにしても、この人…あの人に似てる。


でも、本物の訳ないよなぁ。


「じゃあ、ありがとうございました」

彼はそう言ってサッサと公園から出で行った。






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