雪に塩
露店から香ってくる匂いに、どんな食べ物や飲み物だろうかと、楽しく想像しながら待っていると。



「君、可愛いね。一人?」


「俺達と遊ぼうよ!」



セリフが何とも昔チックな軽いナンパ。


声からして2人いるようだ。



「すみません。連れがいますので……。」



「ええー、可愛子ちゃんをこんなとこに一人置き去りー?」


「あり得なくね?そんな薄情な奴放っといてさ、俺達と花、見に行こうぜ?」



杠が優しく断ったが故か、ナンパ男2人は引き下がらない。


弱視だった頃の感覚で声のする方向に向いて話してしまうからか、初対面だと全盲と気付かれないことがある。


ナンパ男2人も、全盲とは気が付いていない口振りだ。



「お前ら、彼女に何か用か?」


「靱さん。」



ナンパ男2人と押し問答をしていると、靱が戻ってきた。


買ったジュースを隣のテーブルに置き、ナンパ男2人に睨みを効かせる。



「え?連れってこいつ?」


「まじで?止めときな。」



「………ナンパなら、他を当たれ。」



「こんな奴より俺達と遊んだ方が楽しいぜ?」


「そうそう。あ、足悪いの?俺が運んでやるよ。」
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