雪に塩
「ジュース、何にしてくれたの?」


「ハイビスカスとザクロ。……えっと、どっちがどっちだ…?」



右手がハイビスカスで、左手がザクロだった気がするが、咄嗟にテーブルに置いたので分からない。


しかも同じような赤色なので、余計に見分けがつかない。



「1つ貸して?…………こっちがハイビスカス、そっちがザクロね。」


「匂う…のか?」



「うん。ハイビスカスの匂いはさっき覚えたばっかりだから。」



やはり靱には分からないが、杠には分かるらしい。



「まぁ、匂いより飲み比べた方が早いけれどね。」


「え?飲み比べ…」



「うん。ハイビスカスはともかく、ザクロは食べたことあるから。」



確かに一方を知っていれば簡単に分かるが、それが結果的に間接キスになることなど、杠は気付いていない。



「じ、じゃ食べたことないならハイビスカスにするか?」


「いいの?靱さん一口飲む?」



「え、ぁ…いい、俺はザクロで。」


「でも、靱さんもハイビスカスは食べたことないんじゃ…」



「今日はザクロの気分だから飲んでいい。」


「そう?」



照れる靱の言葉を杠は素直に受け取った。
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