雪に塩
「美味しい…!」
「そう、良かった………。あの、さっきはごめん。」
珍しいジュースに舌鼓を打っていると、唐突に靱が謝ってきた。
「さっき?」
「咄嗟で、力加減出来なかったから。足首以外に痛いとこないか?」
抱きとめた時のことを言っているようだ。
足首の処置に気を取られていて、突然触れられることに対し当然驚いてしまう杠へ謝るのを忘れてしまっていたと靱は思い出したからだ。
「…………。ないよ。…靱さんは、私を可哀想だと思う?」
「え…?」
痛いところが無いことに安堵するが、杠の質問の意図が分からず困惑した。
「弱視だった頃から『目が見えなくて大変ね』とか『私の目になる』とか言われててね。きっと目が見えないことが、可哀想だと不幸なことだと思ってるんだろうなって、そんな感じがして…。」
不幸のない世界って、幸せなのだろうか?
悲しいことも無くて、怒ることも無くて。
だったら、喜ぶことだけあるのだろうか?
それとも、褒められることだけなのか?
けれど。
何がなかったら、喜びになるのだろうか?
何がなかったら、褒められるのだろうか?
「そう、良かった………。あの、さっきはごめん。」
珍しいジュースに舌鼓を打っていると、唐突に靱が謝ってきた。
「さっき?」
「咄嗟で、力加減出来なかったから。足首以外に痛いとこないか?」
抱きとめた時のことを言っているようだ。
足首の処置に気を取られていて、突然触れられることに対し当然驚いてしまう杠へ謝るのを忘れてしまっていたと靱は思い出したからだ。
「…………。ないよ。…靱さんは、私を可哀想だと思う?」
「え…?」
痛いところが無いことに安堵するが、杠の質問の意図が分からず困惑した。
「弱視だった頃から『目が見えなくて大変ね』とか『私の目になる』とか言われててね。きっと目が見えないことが、可哀想だと不幸なことだと思ってるんだろうなって、そんな感じがして…。」
不幸のない世界って、幸せなのだろうか?
悲しいことも無くて、怒ることも無くて。
だったら、喜ぶことだけあるのだろうか?
それとも、褒められることだけなのか?
けれど。
何がなかったら、喜びになるのだろうか?
何がなかったら、褒められるのだろうか?