雪に塩
だからあの時から、より現在-イマ-を生きている。



「………ユーハちゃんはユーハちゃんだから。…まぁ俺も同じようなもんだし。」



硬派な靱が性に合わないボーイをしているのは、肩代わりした多額の借金が原因だ。


田舎で暮らす両親が経営していた小さな商店によるもので、高齢な2人が返せる額ではなかったからだ。



「放って置きたくなかっただけで、俺が自分から言い出したことだし、同情されるようなことではないんだ。」



林残に就くまで職を転々とした。


その度に、『大変だな』『押し付けられたんだ』などと言われた。



そのどれも両親が悪者みたいに聞こえて仕方がなかった。



「借金を肩代わりする程度で、会話をあまりしない俺が孝行息子だったかどうか分からないけどな。」



両親は既に亡くなっている。



借金返済以外で、どんなことをすれば親孝行になったのだろうか?



休息の為に旅行か?


傷んだ店の為に家か?



「店長は…、林残は、今までとは違った。だからこんな俺でも長く続いているのかもしれない。」



竺牽捏は『お~そうか、なら頑張れ。』で終わらせ、それ以上無理に話題にしなかった。
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