雪に塩
「ね、誰かと待ち合わせ?あっ、もしかして僕に会いに来てくれたの?」


「あ、いえ……。待ち合わせは確かですけど……」



「何やってんだよ、ジーザス……」



正門でナンパしていた通称ジーザス、絨鮫邃巷(ジュウザメ スイゴウ)は軟派でモテない残念な男。



イケメン炒市、ウザい邃巷、関取犬申の3人は、異色な友達トリオとして、大学ではちょっとした有名人である。



「ショー?」


「杠。」



「え?ショー君の知り合い?」


「待ち人、俺だから。」



驚く邃巷を、炒市はいつものように呆れた目で見る。



「ショー。」


「ん、こっち。」



「…髪、伸びた?」


「そっかな?」



伸ばされた杠の手を炒市は自分の顔に持っていく。



「ちょっとぉ~!ショー君にべたべた触らないでよぉ!」


「あんたショー君の何なのよ!」


「次から次へと邪魔者ばっかり!」



「止めなさいよ、みっともない!」



「…3人………?ん…4人!4人ね。」



「正解。」



炒市を待っていたのは、炒市と同い年の厭侘杠(イトダ ユズリハ)。


杠の右手には、白い杖が握られていた。
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