雪に塩
「ユーハちゃん!」
「じ、ん、さん……!」
「もう大丈夫、大丈夫だから。」
大きな音がした後、自分を呼ぶ声に強く抱き締められる。
よく知った匂いと体温に、堰を切ったように杠の目から流れる温かい涙。
「大丈夫…、大丈夫……。」
靱は大丈夫と繰り返し、杠の背を優しく撫でる。
杠がしゃくりあげる度に、靱は身体の一部が抉られる様な気がしてならなかった。
「(ったく……。オイシイとこ持って行きやがって…)」
ドアの下敷きになり気絶している鍼蔑を見ながら、炒市もホッとする。
渾身の力でドアを蹴り破ったのは他ならぬ炒市。
中学の頃は不良として名を馳せていたこともあり、火が付けば歳上の靱より力を発揮する。
「(しゃーねぇ。杠の為だ、警察呼ぶか。)」
不良でいたおかげで警察嫌いの炒市は、杠の居所が判明した時自ら駆け出した。
だが、杠を傷付けた鍼蔑がこのまま大人しくなるとは思えない。
やはり、警察に引き渡すべきだろう。
「(これで恩が返せたとは思わねぇから安心しろよな。)」
あの時と同じく外は暗く、しかし降るは冷たい雨でなく煌めく星だった。
「じ、ん、さん……!」
「もう大丈夫、大丈夫だから。」
大きな音がした後、自分を呼ぶ声に強く抱き締められる。
よく知った匂いと体温に、堰を切ったように杠の目から流れる温かい涙。
「大丈夫…、大丈夫……。」
靱は大丈夫と繰り返し、杠の背を優しく撫でる。
杠がしゃくりあげる度に、靱は身体の一部が抉られる様な気がしてならなかった。
「(ったく……。オイシイとこ持って行きやがって…)」
ドアの下敷きになり気絶している鍼蔑を見ながら、炒市もホッとする。
渾身の力でドアを蹴り破ったのは他ならぬ炒市。
中学の頃は不良として名を馳せていたこともあり、火が付けば歳上の靱より力を発揮する。
「(しゃーねぇ。杠の為だ、警察呼ぶか。)」
不良でいたおかげで警察嫌いの炒市は、杠の居所が判明した時自ら駆け出した。
だが、杠を傷付けた鍼蔑がこのまま大人しくなるとは思えない。
やはり、警察に引き渡すべきだろう。
「(これで恩が返せたとは思わねぇから安心しろよな。)」
あの時と同じく外は暗く、しかし降るは冷たい雨でなく煌めく星だった。