雪に塩
「あら、男同士の話はもう終わったの?」


「ん、まあ。」



「ちょっとここはそうじゃない!」


「えぇ?こう?」



炒市と靱が店内に戻ると、ストーカーと騒いでいたのも収まって、邃巷は見熊に勉強を怒られながら教えて貰っていた。



「おかえり。」


「おお、ただいま。」



「あ!ショー君、こっち来て!」


「ちょ、引っ張るなって…」



炒市が戻ったのを直ぐ様見付けた見熊は、邃巷の残念そうな顔を気にすることなく炒市を座らせた。



「靱さん、おかえり。」


「ただいま。…そろそろ帰るか?」



「うん。鞠畭さん、ごちそうさまでした。」


「いえいえ、お粗末様。また来てね。」



「はい。ショー、見熊ちゃん、邃巷くん、またね。」



「おう。」


「「またねー!」」



仲睦まじく、杠と靱は帰っていった。



「まるで、雪に塩ね。」



鞠畭はしみじみ思う。



「雪に塩?」


「雪に塩をかけるとそこの部分は溶けるんだけどね、かけた周りは固まるのよ。」



塩をかけた部分は凍結温度が下がり溶けるのだが、塩の無いところは塩が周りの熱を吸収する為に固まってしまうのだ。
< 40 / 45 >

この作品をシェア

pagetop