雪に塩
この原理を利用して、雪道融雪剤は塩化カルシウムをスキー場では硫酸アンモニウムを用いて溶かしたり固めたりしている。



「だから、杠ちゃんが雪で、塩が藺媒焚さんと憑舌っていう人みたいだなぁって思ったの。」



「なるほど。上手い例え。」


「鞠畭さん、博識~!」



難しい顔の邃巷を置き去りに、炒市は感心し見熊は驚いた。



「あんた達もこれくらいは知っておきなさい。冬ならニュースで雪の話は出てくるんだから。」



「へーい。」



「勉強になります!」


「が、頑張ります。」



世話焼きオバサンになりつつあるなという自覚を持ちながらも、世話を焼かずにはいられない鞠畭だった。



「少し休憩するか。公園があるんだ。」


「うん、そうしょっか。」



恋粕からの帰り道、重いからと薬局で少なくなっていた洗剤などをついでに買いつつ公園に寄る。



「だんだん寒くなってきたね。」


「そう…だな。」



座っているベンチは陽が当たる場所ではあるが、少し風が吹くとやはり寒さを感じる季節になった。



「湾廼君に聞いた。中学の頃の話。」



しばらく無言だったが、靱は覚悟を決め話始めた。
< 41 / 45 >

この作品をシェア

pagetop